乳がんと闘うかつら美容師



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乳がんと闘うかつら美容師

テレメンタリー2008

乳がんの抗がん剤治療の副作用で髪を失った美容師・福本志穂さん(30)がおなじ悩みを抱える女性のために、ウィッグ(かつら)を販売する小さな美容室をはじめた。名前は「ローザ・シュライフェ」。ドイツ語でピンクのリボン。乳がんで苦しむ人たちに希望を与えた。

彼女自身が、乳がんを告げられたのは平成16年秋。23歳で美容師免許を取り、順調にキャリアを積み重ねている最中だった。
「ああいうとき、本当に言葉が出ないですね」
告知の日を振り返ると、明るい笑顔がかげる。それは、がんが骨にも転移し激しい末期状態だったからだ。やがて抗がん剤治療が始まり、髪が抜けていった。覚悟はしていたが、予想以上につらかった。同じ美容師の夫が職場から持ってきたウィッグに救われたのはそのころだった。
「髪がないと、どうしても顔が変になる。かつらがあると顔が変わり、それだけで自信になる。メークも念入りにすれば、元気が出て前向きな気持ちになれる」
しかし、市販されているウィッグは自分の思うスタイルではなかった。美容師としてのこだわりもあり、夫と2人でハサミを入れたウィッグは、治療のために通う病院でも注目された。
「それ、カツラですか」「すてき」「私もほしい」
自宅の一室を使い、ウィッグをカットするボランティアを始めた。体調に不安はあったが、「こんな美容師いないわよ」という母親の一言が支えになった。
口コミで客が絶えなくなった2006年9月、自宅居間を改装して美容室をオープン。“天職”を手にした。客は1日平均2人ほどで、6割がウィッグを求める乳がん患者。「乳がんの患者同士にしか分からない不安や悩みがある。私と話すことでストレスを発散してもらえれば」。おしゃべりに没頭するあまりハサミが進まないことも多い。
最近は、自分が働いていることが、客の心の支えになっていることも知った。「志穂ちゃんが頑張ってるから、私も頑張らないかんね」
体調はいいが、再発も覚悟している。「10年後はもちろん、明日のことも分からない。だから今日のことだけを考えて生きる」。彼女は2007年、志をおなじにする仲間とNPO(日本ヘアエピテーゼ協会)に参加。様々な活動を通して患者の心の支えになっている・・・・・

追伸、福本志穂さんは2008年2月、永眠されました。心からご冥福をお祈り致します。

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