日本ヘアエピテーゼ協会☎03-6388-0842:MailLinkIcon

時のひと:再現美容師・毛内英克さん(48)/埼玉

かつらで闘病サポート

抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けてしまうがん患者のため、地毛やかつらを整える「再現美容師」として県内でただ一人活動している。医療用かつらを製作するNPO法人「日本ヘアエピテーゼ協会」(東京都品川区)の認定を受け、3年間で200人以上のがん患者を支援してきた。「かつらと気づかれないスタイルが最も求められる」。がん患者の闘病の一助になりたいと日々、努めている。

 きっかけは、自分を支えてくれた美容師2人を相次いでがんで亡くしたことだった。自分のサロンを持つ前に勤務していた店のオーナーが6年前に亡くなり、その1年後、美容師の道に導いてくれたいとことも死別した。2人とも58歳で、まだ働き盛りだった。
 「2人のおかげでここまで来られたのに、何も恩返しできなかった。せめて美容師として世の中の役に立ちたい」。はさみ一本でできる社会貢献の道を模索し、たどり着いたのが同協会の活動だった。がん患者らに大手メーカーの既製品より安く医療用かつらを提供し、1年間無料でかつらや地毛のケアをする。
 サロンを訪れるのは30〜40代が最も多い。子どもの送り迎えで外出しなければならない主婦、脱毛のショックを抱えながら仕事に向き合う女性会社員−−。「無理にがんの話を聞くことはないが、ぽつりぽつりと語る人が多い。かつらを売るだけではなく、話を聞くことで精神的な支えにもなりたい」と願う。
 がん患者は薬の影響からむくんだり痩せたりして頭の形も変わり、かつらのサイズ調整も必要になる。「お客さんと近い距離で接することを心がけているので、微調整もすぐにできるし、雰囲気を変えたければかつらの毛のカットもできる」。美容師ならではのきめ細かいケアが特徴だ。
 最もうれしいのは、患者がかつらを外す瞬間だ。「闘病中の苦労を知っているので、お客さんの笑顔を見るとホッとする。これからも、この仕事を通じて患者さんに寄り添っていきたい」
【安藤いく子】

”髪”のことならなんでも応えたい

国立がん研究センターが調査した、抗がん剤治療中に辛いこと。一番多かった回答は「副作用で髪が抜けてしまうこと」でした。医療用ウイッグ(ヘアエピテーゼ)とは、そんな脱毛に対応するためのウイッグ。
「ファッション用のウイッグと違って、全く地毛が無くなってしまった時期にも使うものですから、肌に負担がかからない作りです。ふつうの髪と同じように、ヘアアイロンも使えるようになっています」
そう話してくれたのは、ヘアーズアッシュオーナーの八木広樹さん。
医療用ウイッグを扱うプロ、”再現美容師”です。

もともとは一般の美容師だった八木さんですが、今から9年前、「NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会」で再現美容の取り組みを始めました。
「美容師は髪を扱う仕事ですが、『髪が抜けたら専門店へ』というのは寂しい。脱毛でもウイッグでも、髪のことならなんでも応えられるようになりたかったんです」
いまでは通常の美容院の中に専用のスペースを設け、脱毛に悩む人に対応しています。

もうない・ひでかつ

1967年生まれ。高校卒業後に東京都内の美容専門学校に進学。都内などの美容院で勤務した後に独立し、95年から、さいたま市大宮区でサロン「K’Palette」を開院している。医療用かつらのケアなどは完全予約制。問い合わせは(電話0120・266・061)。も