HOME > NEWS REPORT36

がん患者の髪 かつらで再現

市川の美容師 治療中 自然に調整

 
抗がん剤治療の副作用で髪が抜けた女性を支援しようと、市川市で美容室「アンジェリーク」を営む木野高宏さん(50)は、発病前の髪形をかつらで再現する「再現美容師」として活動している。丁寧な仕事ぶりが評判を呼び、活動を始めてから7年間で、再現美容を手がけた女性は500人を超えた。
 
木野さんは25年前に市川市内に美容室をオープンさせた。「再現美容」との出合いは8年前、伯母が白血病にかかったことがきっかけだ。抗がん剤治療で髪が抜ける伯母の姿を見て「髪を扱うプロとして役に立ちたい」と決意。病気の女性を美容の力でサポートするNPO法人「日本ヘアエピテーゼ協会」(東京都)が運営する「かつらの学校」に入学し、再現美容師の資格を県内で初めて取得した。
 
患者には治療前に来店してもらい、その時の髪形と同じカットやパーマをかつらに施す。治療中は髪の量に応じて、かつらのサイズの微調整を繰り返す。治療後、患者の髪が伸び始めると、本物の髪の長さに応じてかつらをショートヘアに改め、かつらを取っても周囲が気付かないようにする。
こうしたこまやかな対応が患者たちの間で評判となり、高校生から70歳代までの女性が全国から訪れた。今では毎月約15人が新たに注文に訪れるという。市川市の40歳代の主婦もその一人だ。昨年7月に乳がんが見つかり、木野さんに相談した。「小さい子供がいるので外出が多く、髪が抜けてしまうことが心配だったが、おかげで子供の七五三も安心して写真に写ることができた」と喜ぶ。
今月10日には、都内で開かれたかつらの学校で講師を務め、後進の育成にも力を入れている。木野さんは「女性にとって身近な美容師だからこそ、女性を精神的にサポートしたい。患者さんの不安を安心に変えられる美容師を一人でも増やしたい」と力を込めた。

NPO法人 日本ヘアエピテーゼ協会 報道資料